「1982年、結婚を契機に、白黒で表現するペン画による年賀状づくりをはじめました。
年賀状は芸術性を求めるものではないので、お正月に年賀状を受け取った人に、
うれしいと思ってもらえるよう、浮世絵を模倣して描いてみることにしたのが始まりです。
色は使わずに黒一色のみで表現する気楽さがよかったですし、ペンで描く緊張感が好きで、
毎年楽しみながら約25年も続けることができました」
池田さんの緻密な作品を見ていると、絵を専門に勉強したことがあるか、
または子どもの頃から絵に親しむ環境にいたのではないかと思いたずねてみたが、
「絵を専門に勉強したことはないですし、また絵を描くことが趣味ということでもない」
との意外なお返事が返ってきた。
年に1度の国民的行事、年賀状づくりをただ続けてきただけだと、あっさりしている。
そんな池田さんではあるが、年代を追うごとに表現方法が細かくなり、手が込んできている。
例えば、初期のものには、濃淡の表現はないが、10年目頃から漫画用のスクリーントーンを利用して
濃淡を表すようになったり、当初は細かな表現ができずに浮世絵の構図の一部のみを描いていたものが、
構図全体をきちんと模写するようになったり、明らかに腕が上がっているのがよくわかる。
切り抜きに適したカッターをみつけるのに、何本も何本も試してみたり、
熱心に工夫を重ねるのも楽しみの一つになっていった。